晩方になっとオレの当番がある。

牛にエサをやったり、せーふろを沸かすごどだ。

遊びに夢中になってっと婆ちゃんがどしなる

「せぇふろ沸かして、とんぼたでろ!」

「わがったよ・・」

オレはしゃあなし返事して、五右衛門風呂の前に燃し木を運ぶ。

せーふろふったげのはやっぱし(枯れた杉の葉)が一番だ。

新聞紙なんか話んなんね。たぢまぢふったがって太い粗朶ッ木に燃えつく。

「婆ちゃん、いづーも手伝いすんだがら十円おごれ~

「マッタグ!きょうびの子供は・・」

そうだごど語って万年草履でペタペタと土間を歩き、かぎまーしを始める。

山がら父ちゃん、母ちゃんが帰る前に全部終わすようだがら

婆ちゃんも、よいなごっちゃねえ

外の小屋で腹へった牛も鳴きだした。

 

**********

せーふろ=お風呂

どしなる=どなる

とんぼ=戸(雨戸)

しゃあなし=仕方なく

ふったげる=焚きつける

おごれ=ちょうだい

きょうび=今どき

かぎまーし=台所しごと

終わす=終わらせる

よいなごっちゃねぇ=容易でない

~め…接尾語(牛め)

**********