親戚のキサやんは炭焼きをしている。オレらは山に登るキサやんの

あどをくっついで行ってみだ。

腰に鉈(なた)をぶら下げて、手のごいを首に巻いて出発。地下足袋を

はいて脚絆(きゃはん)をしてグングンと早足で山道を歩く。

オレらは夢中で追っかげる。三年のシンちゃんは息を切らして真剣だ。

「ああ、こわいなぁ!」

こうだごど言いながら斜面を登り、沢を越えてようやく炭焼き小屋へ

着いた。小屋にはノコギリ、斧、長靴、そして茶碗、鍋・・いろいろ

あって、一升瓶も立っていた。

その隣の小屋には炭窯が煙をあげている。近づくとあったげぇ。

「こっちさ来ぉ!」

キサやんの後を行くと木の上に蔦(つた)がひっからまってアケビが

ばっ口開けていた。オレらは夢中でもぎった。甘くてうんまがった。

 

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手のごい=手ぬぐい

こわい=疲れる

ひっからまる=からまる

ばっ口開ける=口を開ける

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