今日は日曜日。稲こぎの済んだ田んぼで“はって”を壊す手伝いだ。
親戚のキサやんが竹と杭をゆっちばった縄を鉈(なた)で切る。そして
引っこ抜いた杭を納屋の軒下さ運ぶ。
四~五本まるって運ぶ。キサやんは力持ちだがら八本ぐれぇ肩に
担いで、あっという間に片づけてゆく。
その後は長い竹の棒を土手っこに運んだり、柿の木の根元から
立てて枝に差し込む。
こうして片づけた後は“わらぼっち”を作る。大人らがみっちり
藁(わら)を運んできて丸く重ねていく。これで来春まで保存する。
そこへ婆ちゃんの庭の方がどしなる声が聞けできた。
「こじはんだよ~」
縁側に熱いお茶と煮物が用意してあった。さど芋とさづま揚げを
煮た物だ。オレはこれが大好きだ。ねっとりとしていて、こでらんね!
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こじはん=間食、おやつ
はって=稲架(はさ)
ゆっちばる=縛る
まるぐ=束ねる
わらぼっち=藁塚(わらづか)
どしなる=怒鳴る
こでらんね=たまらない
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