晩方になって牛のエサをやる。ワラをこぎって、少し

糠(ぬか)と乾いた草をかんましてエサ箱さ入れだ。オレが

行くと喜んで近づく。

そしてオレの手を舐める。牛のベロはザラザラしている。

まんで紙ヤスリみでぇだ。オラげのこの牛は「のったら

3号」という。オレが名付けた。ホントにめんごい。

そして飼っているメジロは「ちんちめ小十郎」という。

カゴの上に熟柿とが蒸かしたさづま芋なんかをいっけで

やる。カゴから逃げ出しても夕方には戻ってくる。この

牛とちんちめはどっちもオレに懐いている。

オラげの家はワラ屋根の古い家だ。入り口に郵便箱がある。

こきたねぇ板っぱじに木の箱で作った郵便箱が錆びた

針金で結っちばってある。そこにもオレは家族の名前と

一緒に「のったら3号」と「ちんちめ小十郎」の名前を

書いた。家族だがらだ。

だんだん黄昏がせまる。今日もちんちめカゴを土間に入れる。

 

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こぎる=小さく切る

かんます=混ぜる

まんで=まるで

ちんちめ=小鳥

いっける=載せる

板っぱじ=切れ端

ゆっちばる=縛る

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