「川っ端のタケノコ、ハア出てっぺ!」

朝ま婆ちゃんのどしなる声が響く。

「唐鍬(とうぐわ)もってタケノコ掘って来ぉー」

オレは背負いカゴを背負って門場の畑さ出る。この畑の土手を歩くと

大川に出る。ここには川に沿って孟宗竹(もうそうちく)がいっぱいだ。

「ほら、この土手っこがら降りた方がいいぞ」

心配になったみでぇで、あどがら婆ちゃんがくっついで来だ。

二人で竹藪の中を歩くと、足の裏にタケノコの頭が当たる。

「ほれ、ここに出てっつぉ!頭の芯が曲がった方へ唐鍬を入れんだぞ」

「うん!」

婆ちゃんはめっけんのが上手だ。こいちちかんも掛がんねで

ニ十本ぐれえ掘って家さ帰った。背負いカゴが重い。

晩方、味噌炒めにしてくれた。オレはこれが大好きだ。

 

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ハア=もう

どしなる=怒鳴る

出てっつぉ=出てるぞ

めっける=見つける

こいちちかん=約一時間

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