白い栗の花が咲き出した。垂れ下がって独特な形、そこから

雨が滴り落ちる。畑のぷらは入梅でグンと緑が目立つ

ようになった。

「じっちご、じっちご・・雨ばーし降ってやんなっちまうな」

親せきのキサやんが長靴で唐傘(からがさ)をさしてやって来た。

「マッタグ、何もかもカビっちまうね」

婆ちゃんの声にキサやんが引いてきた蕗(ふき)を束ぐし

つん出して渡した。

「これを炒めて食うとうんまいぞ」

そうがね、そぅれした・・」

六月なのに囲炉裏では火を吹ったげる。つけ木を使って火を

熾(おこ)したらば鉄瓶を下げてお湯を沸かし、鍋でおかずを作る。

キサやんはつけ木の燃えっちゃしを使って巻きたばこに火をつけた。

「洗濯物が乾がねで困っちまうね」

「うーん、こごさ干すわげにもいかねぇしなあ」

 

**********

かんぷら=ジャガイモ

~ばーし=~ばかり

束ぐし=束ごと

そうがね、そうれした=そうですか、それはどうも

吹ったげる=焚きつける

燃えっちゃし=燃えさし

**********

 

※じっちご、じっちご・・・擬態語

※唐傘(からがさ)・・・竹と油紙で作った傘

※つけ木・・・火を熾すマッチに似た小さな板木