今日は梅雨の晴れ間だ。近くのおばやんらが「みず菜」

採りに”おいぬぐら”の山を登る。オレとマー君もみんなに

混ざって長靴で歩く。

「六月も終わりだ。ハアこわっちくなっちまったがな」

歩きながらオミノさんが言うとキシエさんが答える。

「うーん・・ふんでも茹でんだがらだいじだんべ

沢の途中の湿った場所にみず菜が生えている。葉っぱを

取って皮を剥(は)いでサッとゆがく。そうすっと茶色が

緑に変わる。不思議なもんだ。炒めて食うとこでらんね

背負いカゴにみっちら採って、晩方に雑貨屋の前で

それぞれに分ける。おばやんがオレらに駄賃をくれる

みでぇだ。ふんでも細かい銭がねぇ。

わりーね、飴を買うがら、千円こわしてくれっけ?」

突然マー君が訊いた。

「えっ!千円・・破くの?」

 

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ハア=もう、すでに

こわっちい=硬い、筋張った様子

ふんでも=でも

だいじだんべ=大丈夫でしょう

こでらんね=たまらない

みっちら=みっちり

わりーね=すまないね

こわす=小さくする、両替

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※みず菜・・・うわばみ草

※おいぬぐら・・・地名