婆ちゃんが切りばんの上でトントンと何かを刻んでいる。近くの

サグやんが来て父ちゃんとくっちゃべっている。

「香沢の下刈り・・どうだんべ?請け負ってもらえねぇがね」

「う~ん、今やってる現場が長引くとね・・簡単に返事も

出来ねぇな」

夏になって何もかもがほぎ出す。山も草が伸びて、去年植えた

杉も草に負けそうだ。

二人の大事な仕事の話が続いたあとで、サグやんが長靴を

履くと、婆ちゃんが台所から立ち上がる。

「初物のキューリだよ。少しだげんと持ってぎな」

婆ちゃんが新聞紙に包んでサグやんにキューリをつん出す。

「いやーこれはすまねぇね」

「すこーしばぁしで・・」

サグやんがオレの頭をなでて小雨の中を帰って行った。

 

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切りばん=まな板

くっちゃべる=しゃべる

どうだんべ=どうでしょう

ほぎる=萌える、伸びる

~だげんと=~だけれど

~ばぁし=~ばかり

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