夏休みに入った。庭の端のグラジオラスが咲く。うすい桃色で

透き通るような色、きれいだ。その奥のかんぷら畑の花は紫色だ。

十時頃になっと「アイスキャンデー屋」のおじやんが自転車で

県道をやってくる。ラッキョみでぇな汗かいで、ランニングシャツで

籏(はた)をおっ立てて、ハンドルにくっつけだ鐘を鳴らしながら来る。

オレは婆ちゃんに五円もらって、万年草履で門場を駆け出す。

アイスキャンデーは、青色、白、うすい赤色、茶色がある。

「あのう、茶色おごれ!」

オレはこの色が好きだ。ほかの色よりも甘い感じがする。二人の

中学生は青色を買った。

「冷てえアイスを汗かきながら運ぶんだぞ。よいなごっちゃ

ねえなあ・・」

キサやんがタバコ屋の前でそう言うと、アイスのおじやんは

麦わら帽子をとってキサやんにペコッとお辞儀して、又

ペダルを踏んだ。

 

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かんぷら=じゃがいも

おごれ=ください

よいなごっちゃねえ=容易な事ではない

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