裏の畑イノシシが出た。子連れみでぇだ。山っ岸の大豆畑も

サドイモも、それがら土手っこの下の五畝歩の田んぼも荒らされた。

田んぼは、穂が出る直前のだいじな時期に茎を噛まれて・・甘い汁を

吸ったみでぇだ。深い田んぼは稲を泥の中に踏み込まれでグシャグシャだ。

「イノシシのやろう!泥浴びしたんだな」

ハア駄目だな・・」

田んぼ一枚無駄になった。大人らはがっくり肩を落としている。特に

キサやんはいじやげでいる

「今度めっけだら丸太ン棒でぷっくらしてやる!」

「大豆畑は半分駄目だな」

「うーん、来年のタネだけだな」

その日の夜がら火をつけた布を畑の杭にぶら下げた。ボロっきれを

縄みでぇに捩(ねじ)って火縄にした。煙が昇り、焦げる臭いが畑に漂う。

 

**********

~さ=~へ

みでぇだ=みたいだ

ハア=もう、既に

いじやげる=腹が立つ

めっけだら=みつけたら

ぷっくらす=叩く

**********