暑い日だ。蝉の声が喧(やかま)しいほどに響く。庭に吊るした

連干しタバコがオレらの遊び場を少なくした。晩方になって

これを込み入れると、そこにキサやんがカンプラみでぇな汗を

かいでやって来た。

トーミギみっちら持ってきたぞ。茹でで食え!」

かま笊に入れたトーミギが一貫目ぐれぇある。

それした~なんだねぇ・・」

婆ちゃんが意味がわがんねような返事して、もっきりを一杯勧めた。

「すまねぇなあ・・」

キサやんの顔が緩んだ。お盆の上のコップはたぢまぢ減って行く。

婆ちゃんは色よく漬かったナスのこうごを、まるのまんま

つん出した。

おあげよ!」

「おお、サイコーだな!」

キサやんはお返しにもらったミョーガを笊さ入れで千鳥足で

帰ってゆく。

 

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カンプラ=じゃがいも

トーミギ=とうもろこし

みっちら=みっちり

かま笊=大きなザル

それした~なんだねぇ=それはどうも・・程度の・・

こうご=漬け物

まるのまんま=切らずに、まるごと

おあげよ=さあどうぞ

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※つけぎ…お礼(昔の火を熾(おこ)す付け木が語源)

※連干し…タバコの葉を縄に挟み込んで干す

※一貫目…約四キロ

※もっきり…冷や酒